17歳の頃、何してた?
1998年秋。
斜に構えてなんとなく高校行って、深く考えない様に遊んでた気がする。
挑戦しても笑われるし興味が無いフリする方が傷つかないもん。
高校三年生の冬、進路ギリギリで僕は運よく夢を見つけました。
「どうせ無理だ」と笑いながらイジってくる同級生が少しいた気もするけど、一瞬で夢中になれたからアウトオブ眼中だった。
FRANK KOZIKに影響を受けてBEASTIE BOYSとハイスタを好きになって音楽とARTの間に挟まれてフライヤーとCDジャケットを創る仕事に漠然と憧れを抱く。
(本当はフランシスベーコンもエゴンシーレもレンブラントも好きだったけどスグに挫折して筆を擱いた)
夢を見つけて少しだけアツい話をするようにもなった(と思う)
25年も前の話。
長崎美術学院を卒業して芸術家になりたくて名古屋へ。
幸運な事に僕は今もそーゆー仕事をしてて、ありがたい事に今でも毎日興奮してる。
(少しわがままで気分屋かもしれん。ごめーん。)
ちょっと長いけど今日はHONESTの話。
10代の子達がカッコイイ「CD」をリリースしたのだ。
3年前。
2020年1月。
いつも僕の背中を押してる岐阜の3人組。
いまだ興奮から抜け出せて無かったKUZIRAのPTPツアーファイナルの1週間後。
「バンドやりたいけどメンバーがいないんです」ってキラキラした表情で夢を話してくれたひぐち少年(16歳)
KUZIRAのpay the piperとhi-standardのthe giftを買ってくれた。
(僕の愛する妻には夢があって「海外で勝負したい!」と家を飛び出した1か月後の話)
店に来る機会も増えて「コロナの影響で修学旅行が中止になりました。そのかわりナガシマスパーランドに学校行事で行きました!」ってお土産貰ったのは凄く嬉しかった。
余談だけど。
嬉しくて僕と同年代の知り合いに「オレの高校生の友達が~」って話をしたら「ん?友達?お前の?高校生の?TO・MO・DA・CHI・・笑?」とニヤニヤされてムカつくと言うより冷めた気持ちになった感覚は忘れない。
やらない理由を探すより「何かやろう!とがむしゃらに挑戦してる少年がいるんだ。カッコイイだろ。」って教えたかっただけなのに。
半年後。
6月下旬、ペナントレースが3カ月遅れで無観客の開幕。
東京オリンピックは1年延期。
ライブハウスの営業もバンドのCDリリースも随分と減った。
2020年の夏休み。
ひぐち少年はバイト代を握りしめて動く。
バンドやりたくてメンバー探したいからレコーディングしてCDをプレスする事に。
世界的に大流行のアレの影響でライブハウスが動きにくかった時期。
12月にHONESTがストレートでメロディックパンクな1st epをリリース。
まだ誰も知らない1人の少年のPUNK ROCKなデモCD。
白くてPUREだし冬っぽいでしょ?ね!?ね!?
発売直後にバガリアスバガボンデージのダイキが一番最初に買いに来てくれた。
僕も嬉しかったしダイキも嬉しそう。
LOST COMMITMENTのドラム・ユースケは東京で住んでてHONESTを通販で買ってくれた事も凄く嬉しかった。
KUZIRAの影響なのか、ひぐち少年もあまりサブスクには興味なさそうで500枚のデモCDは上前津の小さい小さいCD STOREで沢山の方が買って下さいました。
(全国の1枚1枚が彼らの背中を押したと思います)
メンバーが見つかるように募集的な自己紹介をカッコつけず正直に載せた。
2020年に滑り込みでまだみんな知らない教えたくなるバンドになった。
ねえ。オネストって知ってる?
名古屋の新しいメロコアでメンバー募集してるって。
高校生が一人でCD創ったんだって。
いや、それがさ、めっちゃ曲良いの。
奇しくもメンバー募集より、多くの心を動かす「CD」に。
通行人が減った上前津でメロディックパンク好きのみならず本当に多くの方が買って下さった。
スグに売切れ「メンバーまだ見つかって無いし追加で創ろうよ」って話で盛り上がり青い2ndプレスを発売。
ジャケットの打合せをした時にひぐち少年の制服の校章が青かったから2ndプレスはBLUEをチョイス。
僕はいつも真剣だけど少しふざけては、いる。
メンバー不在に焦るより素晴らしい「CD」を創ったのだから創造力を楽しんだ方がずっと良いでしょ?
2021年1月。出会って1年。
早く成長を観たくてもメンバーがいないしライブが出来ない。
バガリアスのダイキが動いてくれてHONESTの初ライブはKOTARO HIGUCHI名義で上前津アコースティックライブ。
優しく歩み寄ってくれそうな友人のバンドとDJに声を掛けると喜んで出演してくれました。
あの日いた人はアーティストも含め全員、物販かマーブルでHONESTのCD買ってくれたんじゃないかな?
CDにはこーゆー興奮する時もあるから大好き。
2021年、遂にメンバー加入。
ひぐち君は高校3年生になり学校の軽音室からドラムが聞こえて来て話しかけた2個下の夏目君がメンバーに。
少し前に抜けてしまったけどベース後藤君は現在DUBの楽曲制作に没頭しており、僕も楽しみにしてるリスナーの1人。
また新しいの出来たら聞かせに来てくれ。
緊張と自信が交差する「初期衝動たっぷりな」バンド体制初ライブ。
KUZIRAの熊野君とバガリアスのダイキが後ろの方で自分達の体験と照らし合わせ懐かしむ会話が聞こえて来てグッときたし、僕が好きな「これから何か始まるんじゃ無いか?と予感させる」ライブハウスのソレだった(だから「今」の彼らをゼヒ観に行って欲しい!)
1年前の2022年1月。
卒業を控えたひぐち君に「1st売切れたしメンバー見つかったし高校生のうちに2ndデモ創れば?何かいいじゃん!カッコイイじゃん!」って話したら本当にレコーディングしてきたよね。
曲もまた1st超えちゃって凄く良いのだ。
僕は1月から開始してたSUNSHINE DUBのジャケット制作が終わってそのままHONESTの2nd demoのジャケットに取り掛かる。
3月に2nd demoを急遽発売。
寅年だからイエロー。
1年前の4月。
HONESTの2ndリリースパーティ。
デモに収録されてない未発表の新曲ばかり演奏してて驚いたし超上がった。
初めてバンドTシャツも創った。
もう2度と創れないように、そして「NOW」を刻みたいから2022年って刻印しよう。
分かる人にはわかるスピード感はスマートに表現出来た。
DEMOもTshも、もしいらなくなった人がいたらインターネットで高値で取引するんじゃ無くて定価位で譲るか身近な誰かにプレゼントして欲しい。
そっちの方がカッコイイ明日がある。絶対に。
2022年春。
HONESTはライブが増えて、僕も制作に追われあまり会わなくなる。
県外遠征が増え上前津で久々観たライブは凄く大きくなってたし、特に夏目君が凄かった。
(最初は大人しそうで心配だったけどそんな事全然無かった。いつも楽しそう。)
そしてken yokoyamaのKILLING TIME TOUR@ダイヤモンドホールにHONEST出演。
横山健さんが「名古屋のみんなでHONESTを育てていって下さい」(みたいなニュアンス)とMCで言った言葉が強く忘れられない。
あと、お客さんの拍手と空気が凄くて忘れられない。
その数日後にひぐち君とツアー中の熊野君が一緒にマーブル来て「この前のライブハウスの出来事」や「KUZIRAのツアーの話」など僕がずーっと質問してエキサイティングで理想的なCD STOREの時間。
引き続き2022年秋。
ジャケット制作の話を受けて喜んで引き受けて制作開始。
他の制作と同時進行で時間調整もアイディアも最初はうまくいかなかったけど「魂を吹き込む作業」としては結果的に良かったのだ。と思うようにしている。
芸術は作品と向き合う時間が重要だ。
一晩デスクに座って1ミリも進まない日なんてあたりまえ。
覚悟が大事だ。
(と思うようにしている泣。ホントはイヤ。早く降りてこい芸術の神様)
今回は阿部さんとのやり取りが増え良い経験だったしHONESTの事を凄く考えてくれてるのだなと感じました。(僕なんかが言う立場じゃ無いんだけど良い表現が見つからないし伝えておきたいので)
少しアートワークの話。
彼らの3年間、そしてもっと重要な「今」を表現したくて「春夏秋冬」をCDジャケットのメインコンセプトに決めた。
雪も降るし桜も舞う、暑い、嵐が来る事もある。時間は過ぎる。
HONESTの未来を邪魔しないよう、シンプルさを心がけ、アバンギャルドでエキサイティングなブックレットになりました。CD聴きながら自由に想像してしてくれたら最高です。
あと今作は「カラー」を魅せるのに試行錯誤したし、うまく表現出来ました。
きっと彼らの「今」にぴったりなはずなのでCD/ブックレットの「色」にも注目して欲しい。
僕の作品はいつもコンセプトや物語があって。
最近はまた言いたく無いテンションに突入しちゃったし、そもそも僕の価値観なんてどーでも良くて受け取り手が自由に想像してくれたら一番嬉しい。
明るく前向きにエキサイティングな気持ちになってくれたら最高たい。
あと、CDを聴けば聴くほどHONESTが大きくなるよう魔法をかけてみた。
歌詞も和訳もしっかり載せてるよ。
CDだけの秘密なのさ。
東京在住の太陽君がベースでメンバーに加入。
HARDCOREが大好きで、ひぐち君とはまた違うとんがった漢。
アルバムリリースと同時にツアーも発表された。
まだまだライブは増えていくと思うけど自分達で組み立てて凄い。
過去を語るでも無く、未来を予想するでも無く「今」のHONESTをライブハウスで観て下さい!
結成してまだ3年。
CD完成おめでとう!
10代でフルアルバム創るって本当に凄い!!!
新曲も超イケてる!!!
沢山挑戦して失敗してもまた挑戦して前を向いてもっともっとカッコイイ「バンド」になって、君たちのライブハウスを仲間と一緒にカッコ良くしてってください!
心より応援してます。
10代の子達がカッコイイ事を沢山教えてくれました。
僕ももう少し頑張るよ。
江口友章
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